Club Pelican

Diary 17

2004年12月24日

世の中の人々はがんばって「クリスマス」しているようだ。街中にあふれるクリスマス・アイテムを見てると、しみじみそう感じる。ウチの近所の商店街も、マライア・キャリーの"All I Want For Christmas Is You"、ジョージ・マイケルの"Last Christmas"、山下達郎の「クリスマス・イブ」を一日中流しまくっている。等身大の踊るサンタ人形まで道端に置いてある。踊るばかりか口まで動く精巧品で、"Merry Christmas!Ha-ha-ha!"とか言いやがる。最初はナマの人間かと思ってビックリした。

わたくしはといえば・・・・・・実はあんまり興味ありません〜。世の中の盛り上がりに水さすようで、どうもごめん下さい。でもクリスマスばかりでなく、なんか年中行事みたいなの全般に対して、楽しいというよりは面倒くさいという感覚のほうが強いんですう。ただ困ったことに今の世の中、なんでも世間様と同じようにしないと、世間様からまるで人間失格のように見なされてしまうんですね。

このサイトを見ているみなさんがどんな方々なのか、私はぜんぜん知りません。実質的にはどのくらいの数の方々が、ここを見て下さっているのかも分かりません。ですが、その中にはひょっとしたら、私と同じような感覚を持っている方もいらっしゃるかもしれません。

ぜんぜん進まない「レスター旅日記」で書こうと思っていたことですが、ここで書いちゃおうと思います。聖書にある言葉ではないですが、読んだ方は多いはず。

(踏むがいい。お前の足は今、痛いだろう。今日まで私の顔を踏んだ人間たちと同じように痛むだろう。だがその足の痛さだけでもう充分だ。私はお前たちのその痛さと苦しみをわかちあう。そのために私はいるのだから)

「主よ。あなたがいつも沈黙していられるのを恨んでいました」

「私は沈黙していたのではない。一緒に苦しんでいたのに」

「しかし、あなたはユダに去れとおっしゃった。去って、なすことをなせと言われた。ユダはどうなるのですか」

「私はそう言わなかった。今、お前に踏絵を踏むがいいと言っているようにユダにもなすがいいと言ったのだ。お前の足が痛むようにユダの心も痛んだのだから」

遠藤周作の「沈黙」より。私はキリスト教徒ではありませんが、神とは本来こんな存在なんだろうな、と感じた言葉です。


2004年12月14日

遅まきながらの話題。 英国ロイヤル・バレエの公式サイト によると、ロイヤル・バレエは来年(2005年)の7月にシンガポール、韓国、日本で海外公演を行なうそうである。演目は「マノン」と「シンデレラ」だそうだ。

上記サイトに"Royal Ballet Tours"というページがある。海外公演についての詳細情報かと思ったら、とんでもない記事だった。面白かったけど。でもバレエとは全然関係なかった。

見出しは「ロイヤル・バレエ日本ツアーに参加しよう!」で、説明にはこう書いてある。

「『ロイヤル・バレエとともに行く芸術の旅』(←ぶーっ)は、海外公演の支援者である特別な皆様方のために、豪華日本旅行をご用意いたしました。ダンサーたちと交流し、リハーサルを見学し、夜公演を観劇する機会が与えられます。同時に、日中の観光やイヴニング・パーティーで、バレエ団のメンバーたちと親睦を深めることもできます。この旅は、通常なら旅行者には提供されないような、ゴージャス且つ贅沢な楽しみでいっぱいです。世界で最も絵画的で神秘的な国の一つ(←日本のことらしい)での、実にユニークですばらしい体験があなたを待っています。」

「このツアーに含まれている楽しみの一部」として、以下の予定が挙げられている。

*古代神殿・寺院見学(←"ancient shrines and temples"。早い話が神社や寺)
*富士山麓でピクニック(←青木ヶ原樹海散策などはいかが)
*京都王宮見学(←"Kyoto Imperial Palace"。京都御所?二条城?)
*相撲トーナメント(←名古屋場所だろう。観戦するのか出場するのかは不明))
*バレエ公演観劇

だが、最後には次のように書いている。「でもひょっとしたら、いちばんのお楽しみは、ロイヤル・バレエのダンサーたちと知り合いになれることかもしれませんね」だって。

確かにお楽しみがてんこもりな旅かもしれないが、しかし問題は「海外公演の支援者である特別な皆様方」というくだりである。"exclusive group"の列に入るためには、いくら払うんだと思う?こーいういちばん大事なことに限って、いちばん最後に書いてあるんだよね。

「ロイヤル・バレエは海外ツアーの後援費として、お一人様あたり5,000ポンドの寄付をお願いいたしております。旅費は寄付とは別途頂戴いたします。」

5,000ポンド、日本円に換算すると約100万円。ダンサーとお友だちになるために100万円。しょっちゅう観ている(はずの)ロイヤル・バレエの、おなじみの演目「マノン」と「シンデレラ」を観るためにわざわざ日本までやって来て、しかも旅費は自己負担。

参加する人っているのかな。いるんだろうな。ヒマとカネをもてあましている人々が。なんか年寄りが多そうだ。ロイヤル・バレエが来日したあかつきには、夜公演の会場に、どことなく得意げな顔をしたイギリス人の集団がいるかもしれない。たぶん最もいいエリアに陣取っていることだろう。なにせ5,000ポンドも払ったんだからなあ。で、絶対に日本の劇場について、「まあ、ロイヤル・オペラ・ハウスとは違って、外観も内装もずいぶんとシンプルなのね」とか言いたれるに違いない。

それにしても噂には聞いていたが、ロイヤル・バレエは本当にビンボーらしい。せっかくの海外ツアーなのに、演目がこれだけかい、みたいな。それとも海外のカンパニーの日本公演は、みんなこんなものなのだろうか。演奏がロイヤル・オペラ・ハウスのオーケストラじゃなくて「現地調達」なのも、なんだかなー、という気がする。

ロイヤル・バレエ日本公演をご覧になる方は、はるばるイギリスからいらした「特別な皆様方」がどんな方々だったか、後でこっそり教えて下さい。


2004年12月8日

あららー、時が過ぎるのは早いもので、もう12月ですわ。あと3週間で今年も終わりなんですね。でも12月だというのに、なぜこんなに寒くないんでしょう。このせいか、冬とか年の瀬とかいう季節感が、いまひとつ感じられません。

最近あったこと。パソコンのモニターがぶっ壊れました。ある日モニターの電源を入れたら、モニター内から「パキパキッ」とか「バチバチッ」というヤバそうな音が聞こえ、次の瞬間に画面が真っ黒になりました。

パソコン本体は動いていたので、壊れたのはモニターだと分かって安心しました。翌日の帰りにヨドバシカメラに寄りました。ヨドバシの店員のお兄さんに、モニターが壊れたときの状況を説明したら、「内部のケーブルがショートしたんでしょう。ちゃんとコンセントは抜きましたか?通電したままだと、発火する可能性がありますよ」と言われました。

「電化製品を修理に出すと、新品を買うより時間も金もかかる」が今や常識となっています。私の友人は、ノートパソコンのキーの一つが外れたので、それをくっつけるためだけに修理に出したら、なんと3万円もかかったそうです。

パソコンは基本的にセット販売で、モニターだけ買おうとするとすごい高くつきます。でも私は今のパソコンをもうしばらく使うつもりなので、セットで買う気はありませんでした。で、ヨドバシのお兄さんに、この近くに中古屋はないか尋ねました。ヨドバシのお兄さんは丁寧に教えてくれました。

半年後くらいにヨドバシで新品を買うからね〜ん、と私はヨドバシのお兄さんにお礼を言い、近くのソフマップに行きました。年季を感じさせる中古のモニターがズラリと並んでいます。ヨドバシとは違い、店員も客もなんとなくアキバ系です。みんな押し黙って静かに製品に見入っています。

どうせ間に合わせです。いちばん安い中古のモニターを選んで、店員の兄ちゃんに映り具合を確かめてもらいました。ソフマップの兄ちゃんは、なんか1週間くらい風呂に入ってなさそうな香りが漂っていました。でもとても親切でした。

ソフマップの兄ちゃんは、「ポイント・カード作ります?今だと1パーセントのポイントがつきますよ」と言いました。「今だと1パーセント」って、じゃあ普段は何パーセントなのでしょう。ちなみにヨドバシは普段は8〜10パーセント、時によっては20パーセントのポイントがつきます。

私は「いえ、いいです」と断りました。兄ちゃんは、あ、やっぱり?という顔で苦笑いしました。購入した中古のモニターは、正直いって壊れたモニターよりも映りがいいです。3年前の最新モニターは、最新の中古モニターに及びませんでした。ちょっと諸行無常を感じました。

「ヨン様」こと韓国の俳優ぺ・ヨンジュンが来日して大騒ぎになりました。私の愛読する雑誌『週刊文春』が、かつてペ・ヨンジュンのことを「韓国版ハリー・ポッター」と書いていて、笑いすぎて痙攣を起こしそうになりました。

前の日記で書いた、韓国のテレビドラマ「美しき日々」に出てくる茶髪の若社長役は、イ・ビョンホンという俳優だそうです。韓国の人に聞いたら、韓国ではイ・ビョンホンの方が、ペ・ヨンジュンよりも俳優として遥かに格上なんだそうです。噂によると、イ・ビョンホンは、自分が日本ではペ・ヨンジュンとともに「韓流スター四天王」などと、同格に扱われているのが気にいらない、とかなんとか。

日本のマスコミは、自分たちが「韓流スター」ブームを引き起こしたのに、韓流スターに熱狂する女性ファン(特に中高年ファン)をからかうような報道をしていました。「旦那や子どもをほっといて何事だ、いい年してみっともない」とでも言いたげでした。でも旦那や子どもの人生に寄生している同年代の女性に比べれば、自分自身が好きなものがあって、それに熱中している彼女たちは実に健康的じゃないでしょうか。

さて時間は過ぎていって、すべては変化していくわけです。高校のころ習った古典を思い出しますねえ。でもその人にとっては永久不変のものもあるわけで・・・。たとえば私にとっては、アダム・クーパーのスワン/ストレンジャーとかね。これは私にとっては唯一絶対の存在です。私はクーパー本人にもそう伝えたことがあります。彼はうつむいて照れくさそうに少し笑い、「ありがとう」と答えました。

私には、マシュー・ボーンの「スワンレイク」であれば、無条件にスライドしてそれに夢中になる、ということはできない。極言すれば、アダム・クーパーのいない「スワンレイク」は、私にとっては何の価値もないのです。


2004年11月21日

う〜む、とにかく日記でゴマかしとけ、という姿勢が最近ミエミエなチャウでございます。早く「雨に唄えば」を片づけなきゃ、と思いつつ、でも「書けそうな波」が再びやって来るのを待っている次第。

前の日記で、「黒ロン毛ヅラ上半身ハダカの新宣伝写真」のクーパー君について、「赤いハチマキ締めて機関銃を持ったら、『ランボー』になると思わない?」とか書いたら、なんとこの写真が、クーパー君公式サイトの新しい扉写真になっているではありませんか!

前の「指さし確認」写真は、イギリスの某有名バレエ・サイトでボロクソ言われたほど不評でしたが、今度の写真もすごい。ここまで連続してこういうセンスの悪い写真を載せられると、逆に痛快でさえありますわ。もうこうなったら、いっそのことずーっとこのダサい路線を貫いていってくれ、と思います。

こんなふうに、カッコよさとダサさの間を行ったり来たりしているのが、クーパー君のいいところ♪クーパー君の公式サイトは時々、同じコンテンツのはずなのに2パターンのページが存在したり、サイト内のリンクがうまくいかなかったり、非常に手間がかかって購買意欲が減退する通販のページを設けたりしていますが、この不器用さがいかにもクーパー君らしくてよいわ。

それに、さして意味のない小さいことには徹底して細かいくせに、肝心なことには大ざっぱでいいかげんなイギリス人の気質が、よく表れていると思います。ベリー・ブリティッシュです。

と、思い出したのでご報告。9月にイギリスに行ったとき、ヒースロー・エクスプレスの切符を買って列車に乗り込んだ後、ヒースロー・エクスプレスがいきなり運休になり、その場でチケットの払い戻しをしてもらえなかった、ということを レスター旅日記(9月8日分) に書きました。

先月末、私のクレジット・カード会社から明細が届き、ほぼ10日後というべきか、それとも2週間後というべきか、とにかく9月19日付けでヒースロー・エクスプレス社から切符代13ポンドが返金されていました。本当に返してもらえるのか半信半疑でしたので、実に非能率的という問題はあれど、彼らはきちんと仕事自体はこなしたわけです。

センスが悪いといえば、最近出た日本の新札もそうですね。もうそろそろ巷に出回ってきたようで、ニュー諭吉、樋口一葉、野口英世もみな目にしましたが、ニュー諭吉はともかく、樋口一葉と野口英世のお札はなんかイヤです。

樋口一葉のお札を持っている方はご覧下さい。樋口一葉の顔が実にブキミじゃありませんか。まるでハニワみたいです。夢に出てきそうにコワイです。最先端の精巧な印刷技術を用いているのなら、偽造防止ばかりでなく、美的観点も重視してほしかったです。

野口英世に関しては、この人をお札に採用すること自体が間違いです。彼は大体、超ビンボーからこつこつと努力を重ねて、最後は自分が研究していた病気に感染して死んじゃった、という気が滅入りそうな一生を送った人です。財布の中にこの人がいると思うと、ただでさえか細い金運が、ますます逃げていきそうな気がします。

ビンボーから努力して頑張って出世した人の何が悪いのか、と思われるかもしれませんね。理由は簡単、私自身の家が超ビンボーだったから、まして貧乏人には何の公的扶助も助成制度もなかった100年前、彼がどんなふうにして成り上がっていったのか、だいたい想像がつくからですよ。育ちのよいお金持ちの人々の善意や優しさを利用する、というみみっちい方法をとったに決まってます。

というわけで、私は野口君をもらうと優先して使うようにしています。夏目君だけを残していますが、夏目君はこれからどんどん回収されていってしまうのでしょう。そうなったらどうしたらよいのでしょうか。


2004年11月18日

前の日記で、「クーパー君の黒ロン毛ヅラ上半身ハダカの新宣伝写真についても書きたかった」とか書いたら、昨日ついに「危険な関係」のキャストが発表されたではありませんか!これでイギリス人の"very soon"の感覚は、ほぼ1ヶ月間であることが判明。

今回発表されたキャストのうち、やはり最も興味深いのはクーパー兄、サイモン・クーパー(Simon Cooper)でありましょう。

一見すると、なーんだ、自分の兄ちゃんに頼んだだけじゃん、とか思えます。でもご存知の方はご存知ですね。サイモンとアダム、この兄弟が共演するということが、どんなに重い意味を持つものか。

サイモン・クーパーは、マシュー・ボーン「白鳥の湖」1996-97年ロンドン公演で、ケガで降板したアダムに代わって、スワン/ストレンジャー役を担当しました。ボーンはサイモンを非常に高く評価し、次の「シンデレラ」でも、アダムと同じパイロット役をサイモンに依頼しようとしました。

でもこれは実現しませんでした。ボーンはこう言っています。「彼は自分の弟であるアダムと一緒に同じ公演で仕事をしたくはなかったし、公演が始まるや否やさっそく巻き起こるだろう、弟との比較を味わいたくなかったのだろう。」

サイモンは確かに「白鳥の湖」でスワン/ストレンジャー役をやりましたが、それはアダムがそのとき出演していなかったからです。だから「シンデレラ」では、アダムと同時に同じ役で出演することを避けたのでしょう。

サイモンもアダムも、兄弟の間に昔どんないきさつがあったのか、これまでのインタビューでかなり詳しく明らかにしています。これは、現在は兄弟の関係が元に戻ったからこそ、もう過ぎた昔のこととして話せるようになったということです。

それでも、サイモンとアダムの兄弟共演が実現するには、更にもうしばらく時間が必要だったようです。兄弟がようやく初めて同じ舞台に立ったのは、実に去年(2003年)のことでした(エクセター・フェスティバル。「ストーリーズ」のいおさんレポートを読んでね)。ふたりはそこで、まるで彼ら兄弟の関係を象徴するかのような作品を、ただふたりだけで踊ったそうです。

ですから、サイモン・クーパーが「危険な関係」出演を承諾したというのは、まったく感慨深いことです。サイモンとアダム、お互いの役柄は違っていても、舞台上で(いい意味で)火花がバチバチと散ってくれることを期待しましょう。

サイモン・クーパーの出演が楽しみなもう一つの理由は、彼がRambert Dance Companyのベテラン・ダンサーであるということです。ランバート・ダンス・カンパニーは、イギリスで最も古いダンス・カンパニーであり、モダン・ダンスではロイヤル・バレエ的存在です。

最近のランバート・ダンス・カンパニーの公演を観た方からメールを頂きましたが、ランバートのモダンを観れば、ロイヤル・バレエのモダンはまるで「借り着」にみえるそうです。それほどのカンパニーなのに、なぜか日本公演がさっぱりありませんから、日本ではあまり知られていないみたいです。

というわけで、ランバート・ダンス・カンパニーのコアなダンサーであるサイモン・クーパーには大いに興味があります。モダンではロイヤルを凌駕するカンパニーのダンサーとは、いったいどんな動きをするものか、早く見てみたいです。

他のキャストでは、やはりサラ・ウィルドー(Sarah Wildor)の出演が決まりました。「危険な関係」の企画当初から、クーパー君は彼女に出演してほしかったようなので、希望どおりにいったということでしょう。

あとはなんといっても、サラ・バロン(Sarah Barron)です。マシュー・ボーン「白鳥の湖」オリジナルキャストの一人であり、もちろん映像版にも出演しています。もっとも印象的なのは、第三幕で黒のスーツ・ドレスを着て、白地に銀の模様の大きな眼帯をかけている王女役、クーパー君演ずるストレンジャーに、最初にアプローチする女性です。

「白鳥の湖」以降、ボーンの作品には出ていないようなので、ちょっと気になる存在ではありました。ボーンの作品に出演したダンサーは、多くがそれ以降もボーンから離れないでしょう?ボーンと距離を置くというダンサーは、かなり珍しい、というか変わっている。サラ・バロンは私にとって謎の女性でした。いよいよ秘密のヴェールが外されるか?

リチャード・クルト(Richard Curto)に関しては、もう何も言いますまい(笑)。今回は終始ロココヅラをかぶったままなのでしょうか。お待ち申し上げております。

ダミアン・ジャクソン(Damian Jackson)については、浅葱さんのDancing in the Breezeで紹介されております。ダミアン・ジャクソンが所属するエージェントへのリンクもあり、彼のプロフィールや容姿(これは大事よ!)が分かります。

ヘレン・ディクソン(Helen Dixon)は、この前の"Singin' in the Rain"にも出演していました。ひょっとしたら、彼女は"Broadway Melody"で、クーパー君と組んで踊った「緑の女」じゃないかと思うのですが、どうでしょう?

あっ、そうそう、「クーパー君の黒ロン毛ヅラ上半身ハダカの新宣伝写真」ていうのは、イープラスのサイトに載っているこの写真のことです。いや、ある人がね、"Singin' in the Rain"の劇中映画、"The Royal Rascal"の黒ロン毛ヅラロココ衣装のクーパー君を見て、映画「危険な関係」のジョン・マルコビッチを思い出した、っておっしゃってたんです。

今回の「危険な関係」でも、衣装はやっぱりロココになるんでしょう?このハダカにロココ衣装を着せると・・・・・・う〜む、ジョン・マルコビッチを思い出す前に、"The Royal Rascal"でのアホ面クーパー君を想起してしまう可能性がある。シリアスなドラマなのに、噴き出してしまったらどうしよう、というしょーもない話でした。

あとこの写真のクーパー君が、赤いハチマキ締めて機関銃を持ったら、「ランボー」になると思わない?


2004年11月16日

「雨に唄えば」が更新できなくてすみません。先週から今週にかけてまたなにかと忙しく、時間がとれませんでした。ちょうど第一幕が終わってインターバルに入ったところだし、感想もインターバルということで。そんなわけで、今回も日記でお茶を濁します。

もうずいぶんと古〜いニュースになってしまいましたが、イギリスCritics' Circle 主催の National Dance Awards 2004年度Best Choreography (Musical Theatre)に、クーパー君がノミネートされました。対象作品は、彼が予想していたとおり"Singin' in the Rain"でした。結果発表と授賞式は、来年(2005年)1月20日にロイヤル・オペラ・ハウスで行われるそうです。

National Dance Awardsは2001年1月に正式に発足したイベントで、来年の2004年度の授賞式でやっと5回目となります。歴史の浅い組織やイベントは、やはり権威に欠けるとみなされやすいものです。彼らもそれを自覚しているのか、National Dance Awardsの公式サイトには、組織や賞の由来は、実は80年代にまで遡るんだよ〜ん、と長々と言い訳がましく書いてあります。

2003年度のNational Dance Awardsで、クーパー君が"On Your Toes"によって、今回ノミネートされたのと同じMusical Theatre部門のBest Choreography賞を受賞したとき、なんじゃこの得体の知れない賞は、と私は思いました。歴史があるとかないとかは関係なく、"On Your Toes"の振付がBest Choreographyに選ばれたということ自体に、なんだか引っかかるものがあったのでした。(クーパー君すまぬ)

Critics' Circleとは、訳すと「批評家協会」とか「批評家連盟」とかになるんでしょうが、公式サイトによると、構成メンバーは300人以上、その大部分が全国紙・地方紙、または雑誌などに、頻繁にレビューを掲載している人々だそうです。イギリスには300人も舞台批評家がいるんかい、と驚きました。

National Dance Awardsのスポンサーにも、貴族らしい人々、そして故ケネス・マクミランの夫人であるデボラ・マクミラン(Lady Deborah MacMillan、ケネス・マクミランは"Sir"の称号を授与されたので、その夫人は"Lady"と呼ばれる)、アーツ・カウンシル、サドラーズ・ウェルズ劇場、ロイヤル・バレエ、バーミンガム・ロイヤル・バレエ、スコティッシュ・バレエ、イングリッシュ・ナショナル・バレエ、ダンス関係の団体、民間企業、そしてBallet.coなど、錚々たる(?)名前が並んでいます。

賞の部門設定をみると、彼らのいわゆるDanceというのは、主としてバレエの範疇に入るダンスを指しているようです。最優秀ダンサー、カンパニー、振付、レパートリー、功労者の候補はバレエ関係がほとんどで、また賞の多くの部門が"Classical"と"Modern"とに分けられています。

クーパー君がノミネートされた"Best Choreography (Musical Theatre)"には、Matthew Bourne (Play Without Words)とWilliam Tuckett (The Soldier's Tale)がノミネートされています。"Musical Theatre"というのは、いわゆる「ミュージカル」ではなく、文字どおり「音楽演劇」というか、ダンス以外の要素も多分に入っている作品を指すのでしょう。

しかし、いくらなんでも、"Singin' in the Rain"と"Play Without Words"と"The Soldier's Tale"を、同じ部門に属する作品として取り扱う、というのはかなり無茶な所業です。純粋なダンス(しかもバレエの要素が強いダンス)ではなく、セリフや歌などもあって分類に困ってしまった作品は、すべて"Musical Theatre"に詰め込んだ、という感がないでもありません。

クーパー君はノミネートされたことを喜んでいるようだし、私も賞はノミネートされる、もらえるに越したことはない、履歴書の「職歴」、「免許・資格」、「特技」欄に書けることが増えるから、と思っています。"On Your Toes"よりは、"Singin' in the Rain"で受賞してほしかったですが。

ついでに、National Dance Awardsには"Audience Award"というのもあります。2004年(または2003-2004シーズン)に、イギリスでダンス公演を観た人なら誰でも投票できます。"have seen over"というのが、ちょっと外国からイギリスへ遠征した観客の締め出し策っぽいです。私の誤解でしょうか。

11ケタの数字があって、ただ一言「なんとかカンパニー」とかいうテキストだけで投票してね、と書いてあります。期限は12月末まで。この11ケタの数字はなんだか分かりませんが、たぶん電話番号でしょう。メッセージ録音専用ダイヤルかもしれません(電話でしか投票できない、っていうところがまた・・・)。

イギリス人はなんでも賭けるのが好きなんだそうです。私は何も賭けませんが、受賞者や受賞作品の予想は以下のとおりです。まずBest Male DancerはたぶんJonathan Cope。Best Female Dancerは、Leanne Benjaminか、もしJonathan CopeがBest Male Dancerならば、Svetlana Zakharova だと思います。

Best Choroegraphy (Modern)は、これは鉄板でRussell Maliphant (Broken Fall)でしょう。Best Choreography (Musical Theatre)は、高い確率でWilliam Tuckett (The Soldier's Tale)。クーパー君は、今回はおそらく受賞できないと思います。Company Prize For Outstanding Repertoire (Modern)は、これもかなりの確率でGeorge Piper Dancesかな〜。

「危険な関係」、クーパー君の黒ロン毛ヅラ上半身ハダカの新宣伝写真についても書きたかったんですが、長くなったので今日はこのへんで。


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