Club Pelican

Swan Lake in Tokyo 4

2003年3月26日(昼公演)

主要キャスト。白鳥/黒鳥:アダム・クーパー、王子:トム・ワード、女王:エマ・スピアーズ、執事:スティーヴ・カーカム、ガールフレンド:トレイシー・ブラッドリー。

頭からエラソーな物言いをしてしまって申し訳ないが、トム・ワードがすごくよくなった。といっても、踊り自体はもともと何も申し分なかったんだけど、以前に観たとき、誰かと絡んで踊るときのタイミングが全体的に合っていなくて、間が空いたり位置が極端にズレたりしていたのがやたらと目に付いた。そうなると相手の動きもおのずとおとなしい、勢いを失なったものになってしまう。

スタジオとかでよくよくリハーサルを重ねたとしても、やはり実際の舞台はまた勝手が違うだろうから、何度か数をこなせばすぐに解決する問題だろうと思っていたが、やはりそうであった。今日は誰と組んで踊ってもタイミングはバッチリで、ガールフレンド、女王、白鳥そして黒鳥の青年との踊りでは、二人の動きはとてもスムーズでなめらかであった。

実際のトム・ワードは、とてもカッコよくてクールな兄ちゃんだ。だが、見た目の風貌はベン・ライトほど端麗ではなく、またアンドリュー・コルベットほど大柄でもないため、舞台で王子を演じていると、なんとなく地味でさえない、おとなしそう、といった印象を抱いてしまう。でもこの人はたぶん自分のそうしたところを逆手にとっていて、グズで不器用で何をやってもうまくいかないダメ男、という王子像を描こうとしているようである。第4幕の最初で、不気味な医者と看護婦たちに抑えつけられて、妙な手術(?)を施された後、すっかりおとなしくなったワードの王子は、小柄な体をことさらに縮こまらせ、びくびくした表情で肩をすくめ、せむしみたいに背中を丸めて、医者に促されるままに、とぼとぼと歩いてベッドによじ登る。あの姿はすごくかわいそうでならなかった。

あくまで観る側の立場から感じた限りでは、クーパー君の白鳥の踊りは2パターンある。1つは動きが大きくて激しく、鋭角的で、また緩急のメリハリがはっきりした、スピード感に溢れるもので、獰猛で凶暴な野生の動物といった感じがことさらに強調されるタイプ、もう1つは、動きが静かでよりなめらか、曲線的で、緩やかなスピードを一定に保ったもので、柔らかくて穏やかな印象を与えるタイプである。じゃあ映像版はどっちなのか、と思うかもしれないが、映像版はこのどちらでもない。映像版は、なんだか決められた振付を順番にこなしている、というぎこちなさがどこかにあるが、今回の公演での彼の白鳥は、どちらのタイプにせよ、とても自然でこなれている感じがする。どういう事情で分けているのかは知らない。王子役が誰であるかによってか、その日の気分によってか。もしかしたら、本人的には分けているつもりは全然ないのかもしれない。

今日のクーパー君の白鳥は後者のタイプであった。動きはゆっくりと丁寧で、表現が的確かどうかは分からないが、よりクラシカル。私はこういうのも好みなんだよねい。もちろん鋭くて激しいのもいいけど。

クーパー君の白鳥の踊りで、私の特に楽しみにしてるとこ(前に挙げたものは除く)。王子の前からいったん飛び去った白鳥が、舞台右奥からジャンプしながら再び舞台に現れるとこ。王子とオデット姫がイチャついてると、ロットバルトがジャマしてくる音楽のとこね。映像版では現れた瞬間にジャンプするが、今回の公演では舞台奥中央まで踏み出してきてからようやくジャンプする。

このジャンプの後、映像版では違うんだけど、クーパー白鳥は王子に追いかけられてバランスを崩しかけ、両腕をぐるぐる回して、わたわたわた、と羽ばたきする。「小さな白鳥の踊り」で、小さな白鳥がおぼつかない羽ばたきをするシーンがあるでしょ。あれとまったくおんなじやつ。クーパー君の舞台での印象からすれば、あまりかっこいい動きじゃないけど、でもすごくかわいい。これ、ジーザスさんはやらないんだよね。

あと、白鳥がボコられかけた王子に後ろから近づいて、両の翼で王子を軽くはたいて、それから王子に翼をもたせかけるよね。それから「白鳥たちの踊り」の音楽が流れて、白鳥と王子とが白鳥の群舞の中で踊る。ええと、白鳥が王子の向かって左側から、王子にぐーっと身をもたせかけて、二人の体が一瞬右側の方へかしぐでしょう。それから白鳥が王子から身を離すよね。その身を離す瞬間のね、クーパーの動きが、音楽にすごく合っていて気持ちいい。あの音楽に合わせて、クーパーが一瞬ぐんっと体を伸ばす。何て言ったらいいのかしら。とにかく快感。

それからDVDにおまけで付いてるポスターにある、あのクーパー白鳥、目を閉じて、片腕をもう片腕の肘に添えて、片脚を前の方に挙げて半つま先立ちしてる、あのポーズ、あれは白鳥のソロに出てくるんだけど、これも一瞬だけど、まさにあのポスターそのもののポーズ。誰か、最も美しいと感じるポーズでの、手足の位置、体を曲げる角度、そしてその組み合わせとかを数値データ化して説明してくんないかね。

きりがないな。もうやめよう。今日のこの公演、私はちょっと苛立っていた。なんでかというと、私の隣に坐っていたおばさん二人連れが、公演中でもかまわずおしゃべりすることが多かったからである。それに加え、私の真後ろの席からも、たぶんスーパーかコンビニの袋だろうが、カサカサいう音が時折聞こえてきた(この音がこんなに耳にさわるものだとは思わなかった)。観劇での作法や習慣は、国によっても世代によってもジャンルによっても違うだろうから、気にしないように努力したが、見どころのシーンの、特に静かな音楽のとこでやられると、ついムカついてしまってキレそうになる。

隣のおばさんたちは、第1幕から第4幕までコンスタントに(笑)しゃべり続けてくれた。幕が下りてカーテン・コールも終わり、やれやれ、今日はちょっと席運がよくなかったな、でもこんなこともあるか、と思いながら席を立つ。と、そのおばさんたちの一人がこうしゃべっているのが聞こえてきた。「白鳥と黒鳥は違う人がやるのね。同じ人が両方やるのかと思ってたわ。」・・・どうもパンフレットやキャスト表を見てないらしい。だが、訂正はしませんよ。最高の賛辞だからね。おばさん、あなたがたはいい人です。

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2003年3月25日(追加公演初日)

主要キャスト。白鳥/黒鳥:アダム・クーパー、王子:ベン・ライト、女王:マーガリート・ポーター、執事:リチャード・クルト、ガールフレンド:フィオナ=マリー・チヴァース。

いうなれば東京凱旋公演ともいえる追加公演が始まった。東京本公演の楽日は、ほんの10日ほど前だったし、この前クーパー君の白鳥/黒鳥を最後に観てからも、2週間とちょっとしか経っていないはずなのだけど、でも待ちかねた、この日を待っていたというのが正直な感想だ。特にクーパー君の白鳥/黒鳥は。

彼が日本を留守にしていたのは、たった10日間あまりのことだが、しかし彼はこの間とんでもないスケジュールをこなしていた。いったんイギリスに戻って、それからアメリカで公演、それが終わってまたイギリスに少しのあいだ戻り、またそれから日本へ飛び、その翌日から「白鳥の湖」公演に復帰というぜんぶを、10日間でやった。

ロクな休みがとれなかった、というより、ほとんど止まらず動きまわっていた、という方が正しいだろう。彼のオフィシャル・サイトにある「日記」には、疲れた、疲れたという語が頻繁にみえていたし、その文面からは、おそらく極端な疲労のせいだろうが、物事のとらえ方や感じ方、考え方が、少しばかり気弱なものになっているように私には感じられた。

「プロならばどんなに疲れていようがちゃんとやれ」、こういう片づけ方もできるだろうが、しかし私のような年になると、世の中には避けようのないしがらみやなりゆきというものがたくさんあって、しかもそれらの中には、個人の意志や気力や根性だけでは乗り越えられないことが数多く存在する、ということを否応もなしに感じざるを得なくなってくる。

序奏が始まって幕が上がる。紗幕を隔てて、子どもの王子がベッドで眠っている。最初は悲しげでゆっくりした旋律を奏でていた序奏が、徐々に音の高さを上げながら速さを増していく。それにつれて、悪夢にうなされたベッド上の王子の動きも激しくなっていき、序奏の緊張が頂点に達して、管楽器が一斉に鋭く響いたその瞬間、窓の外に白鳥の姿が青白く浮かび上がる。顔を両腕で覆ったうずくまった姿勢から、ゆっくりと身を起こし、両腕を交差させながら上に開いて大きく羽ばたく。間違いない。クーパーだ。ブラスの鋭い旋律が響くたびに、クーパーは時には両腕を、時には片腕ずつを上下にうち振る。

今回は舞台からわずか数メートル離れた位置にある座席だった。文字通り目の前で、侍従と女官役のダンサーたちが早足で行き交う。今さらながらに、生きている人間が動き、そして踊っている、と実感する。

今日の女王役はマーガリート・ポーター。彼女が出てきた瞬間、その美しさと豊かな表情に目がくぎ付けになった。表面だけ大げさな顔つきや動きにすれば能弁になるのではない、ということをようやく悟る。冷然とした表情を崩さず、ハデなリアクションもないまま、彼女は目つきや身振り、手振り、身のこなしを微妙に変化させるだけで、女王がどういう女性なのかを、実に見事に表現していたのである。それにいったん気づいてしまうと、そのかすかな変化の一つ一つが、こちらの注意を惹きつけて離さない。気高い美しさ、優れたダンスの能力と演技力、そして観客の注意を引きつける存在感とを兼ね備えた人だった。こういう人を「アクター・ダンサー」、または「ダンサー・アクター」というのだろう。優れた舞踊家でもあり、同時に優れた演技者でもあるパフォーマーのことである。

ガールフレンド役のチヴァース、私が今まで観た中で最高の出来だった!!溌剌とした魅力にあふれていて、動きにキレがあり、細くて長い手足は美しく弧を描いて舞う。酒場で執事に命令され、王子と口げんかをしながらも、彼女は視線を落とし、ぎこちないわざとらしい笑顔を作って、王子をだますことに罪悪感を抱き始めていることを表現する。第3幕では、女王や王子に無視され、執事に脅され、黒鳥の青年にからかわれ、彼女は徐々に耐えきれず泣きそうな表情になる。それでも、女王が王子を殴りつけると、彼女は王子につれなくされたにも関わらず、一生懸命に王子を庇う。

チヴァースはかなり勝ち気な子だと思うけど、それが舞台向きというか、舞台でとてもいい効果をもたらしているのだろう。「チャールダーシュ」を踊っているシーン、彼女はクーパーに全く負けていなかった。2人のダンサーの力が、こんなふうにいい意味で拮抗してかみ合うと、それはこの上もなく見事な踊りになる。

さてクーパー。第2幕が始まり、ベン・ライトの演ずる王子が、簡単に遺書を走り書きし、湖へとびこもうとする。舞台左奥から、クーパーの白鳥が走り出てきた。王子の正面で、体を折りたたんだ姿勢から、ゆっくりと上半身を伸ばして身を起こし、手足をぐぐーっと大きく広げて羽ばたくポーズをする。私はそれを、初日だからといって無理するな、とにかくケガだけはしないで、と祈るような気持ちで見つめる。クーパーは軽くジャンプしながら、前へとやって来た。舞台左袖で静止。それからゆっくりと立ち上がり、両腕を伸ばす。さあ、片腕に頭をくっつけながら、片脚を上げて体全体を大きくターンさせるシーンだ。クーパーの伸ばした脚が、大きな弧を描くように、なめらかな曲線を残しながら空を切り裂いた。ああ、杞憂だった。大丈夫!

クーパーの「本日の白鳥」は、一段と激しく野性味に溢れたものだった。上目遣いに王子を睨みつける目つきの鋭いこと。今日の王子役はベン・ライトだ。ライトが相手ならば、パートナーシップは全く心配無用。案の定、クーパーはのびのびと踊っていた。決められた振付をお約束にこなすのではなく、安心しきったように自由奔放に踊っている。かといって自分勝手に暴走するわけではなく、ライトの王子から決して目を離すことはない。動きは非常にスピーディーで激しい。だけど、今日は音楽をためるためる。ああ、そこまでためると間に合わない、とこっちがハラハラする。と、次には突如として動きを一気に加速させて、音楽に追いつき、時には飛び越える。それはまるで、王子に近づいたかと思うと、とつぜん王子を払いのけて飛び去る、白鳥の予測不可能な行動そのものだった。王子ばかりか、音楽をも自在に翻弄する。

アダージョが始まる。上半身と両腕とがむきだしになったクーパーの動き。オペラグラスを通さなくても、その細かな筋肉の隆起や動きが、肉眼ではっきりと見てとれる。彼が両腕をゆっくりとたわませて、白鳥の羽ばたきをする。かすかに、そしてゆっくりと、生糸の束が撚り合わされていくように、そして波がゆるやかに岸に寄せるように、彼の腕は根本から指先へと、螺旋状にねじれていって、そして最後に手のひらが、ついには指先が内側から外側へ裏返った。筋肉の不自然なねじれ。自然のあるべき姿では到底ありえない腕の反転。

映像版ではここまでは見えなかった。クーパーの有名な腕のムーヴメント。マシュー・ボーンがクーパーを白鳥に選んだ、最も大きな理由の、あの腕。「生まれつき」、「天性」、「ギフト」なんかじゃない。訓練して、努力してここまでにしたのだ。自分の身体を、自然に逆らった形になるまでに作り変えたのだ。あの腕のねじれが目に入ったとき、頭をガンと殴られたような感触がして、頭の中心が痺れたようになった。その痺れは徐々に頭全体に広がって、目元までせり上がり、涙となってこぼれ出す。これは評価してはならない。他人が傲慢にも評価できるような対象ではない。

第2幕が進行するにつれて、白鳥のダンサーたちの息づかいが徐々に激しくなってくる。額、首筋、肩、背中、胸板、肋骨が流れる汗で光っている。ダンサーたちがジャンプしたり激しい動作をするたびに、汗の滴がきらきらと床に落ちる。白鳥たちは無表情だが、表情を動かさないよう、また肩を上下させないよう、口を軽く開け、腹部だけを動かして息継ぎをする。クーパーも額と上半身が汗みずくになっている。見た目には、さりげなく、そして静かに息をしているにみえる。しかし、彼が息を吐き出すときの音は、すごいものだった。それこそ腹の奥から一気に絞り出すかのような、唸るかのような「ハーッ」という呼気。それは凄絶なまでに激しくて、彼が気力を振り絞っているのがよく分かった。一生懸命とか必死とかいう次元をとうに超えている。人間のすさまじい、そしてすばらしい力。

今日の執事役だったリチャード・クルトは、いかにもクーパー君が好きそうな、一クセも二クセもありそうな個性的なダンサーである。クーパーとはつきあいが深いみたい。この前はクーパー君と一緒にワシントンでの公演に参加したし、それ以前、たとえばエクセター・フェスティバルとか、K-Ballet Companyとかにも、クーパーとともに参加している。

第3幕、クーパー演ずる黒鳥の青年が舞踏会に姿を現し、舞台右のテーブルにがっと脚を広げて腰掛け、「スペイン」、「ナポリ」の踊りを眺めている間、このクルトが演ずる執事と目くばせし合ったり、何事かをささやき合う一連のシーンは、スティーヴ・カーカムが執事を演じている時とは違う。こうした周囲のシーンでも、いくつかパターンがあるのか、それとも時に応じて即興でやっているのかは分からない。この「白鳥の湖」にはもちろんセリフはないが、会話を交わすシーンはいくつかあって、それはぜんぶ口パクである。で、黒鳥のクーパーはテーブルの上に坐って、ふと上体をかがめて執事の耳元でなにかささやいたのだが、この時かすかに、ほんの一瞬、クーパーの声が聞こえた。あのちょっと鼻にかかった独特な声音である。へえ、ホントにしゃべってるのか、と面白かった。何を言ったのだろうね。

黒鳥の青年と女王との踊りもすばらしかった。クーパー君は自分が調子悪いとき、あるいは相手が調子悪いときは、危険なリフトは絶対にしない主義みたいで、相手もそれを察知して大胆な動きはしないようである。同じ演目を何回も何回も何回も観ると、こういうことも段々と分かってくるから面白いす。で、今日は二人の動きがぴたりと合っていたし、完璧に音楽に乗っていたので、観ているこちらもうきうきした。ポーターが身に着けている濃い紫のドレスの裾が、ひらひらと美しくたなびく。どうも最近、音楽に合わせて頭や足が勝手に動いちゃうんだよな。そう、腰が動いちゃう(by パパイヤ鈴木)。

私は王子がベン・ライトだとすごいホッとする。スコット・アンブラーはもちろん別格としても、ベン・ライトはね、すばらしいですよ。踊りもダントツにいいですが(特に第4幕冒頭、王子の「狂乱の場」では、王子を殺そうとする王子の右腕が、本当に別の生き物みたい!)、なんといっても、この人のサポート力は尋常のレベルではありません。相手が誰であっても、タイミングが完璧に合っている。これはライトの力によるところが大きいでしょう。

王子がライトのとき、クーパーとの「タンゴ」が本当に壮絶なものになる。これは何度も書いた。うう、お願いだから今日だけは言わせてね。・・・映像版とは比べものにならないくらいエロい。セクシー。すさまじい。本当にタンゴなんです。タンゴ風振付ではないのである。クーパーの黒鳥自体、映像版にはまだあった照れというか、青臭さが一掃されているから、ライトとクーパーが絡み合うと、なおさら凄いことになる。今日はなにしろ、あの二人の息づかいの激しさと迫力といったら!!映画「ダメージ」における、ジェレミー・アイアンズとジュリエット・ビノシュとの、あの壮絶な場面に勝るとも劣らないくらいだった。

もうひとつだけ。白鳥の群舞の中に、圧倒的にすごいのが一人いる。ただ名前が分からない。痩せていて背は高め、非常に細面で目がつぶらな子。髪の毛はたぶん黒い。

カーテン・コール。万雷の拍手と歓声が会場に響き渡る中、クーパーはそれまでとは一転してうって変わった、ふにゃっとした子どものような笑顔を浮かべて観客に答える。映像版でもおなじみの、あなたホントにさっきまであの白鳥を踊っていた人でスか、という、あの「クーパー君別人笑顔」である。

去年のロイヤル・バレエの「オネーギン」と、今回の「白鳥の湖」公演とでは、カーテン・コールでの彼の笑顔が全然ちがう。「オネーギン」の時は、完全に舞台の延長としての笑顔だった。表情を崩さず、口元だけで少し微笑む。今回の公演では、本当に嬉しそうに笑って、他のダンサーたちと何か言葉を交わしながら前に出てくる。私も嬉しくてならない。どんなに疲れていても、成功させなければならない公演は必ず成功させる。決めなければならない時は必ず決める。これがクーパーのすごいところだ。


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