Club Pelican

Stories 7

“On Your Toes”日本公演感想集(大阪編)

by 浅葱


2004年5月26日(マチネ・ソワレ)

思っていた以上に楽しめました。面白かったです。ただ、会場は大爆笑とまではいっていなかったような…。ゼノビアは大受けだったんですけどね。やっぱり言葉の壁が厚いようです。「ジュニア…ヴィッチ・ドーラン…スキー!」の場面、本当だったら大爆笑するところなんでしょうが、字幕が先に出てしまうせいか、普通に笑いが起きる程度でした。それに、もしかしたら「何でロシア人のふりをしなきゃいけないのか」とか、そもそも「これがロシア風の名前である」ことなどを分からない観客もいるんじゃないかなー、とも思います。昨今のバレエ団はどこも多国籍になってますものね。

あと、とってもわかりやすい"I can. You can not. I can. "(でしたっけ?)は、字幕が先に出ていたにもかかわらず原語のタイミングで受けていましたから、やっぱり問題は言葉ですねー。仕方ないですけど。

でも、字幕はよく出来ていたと思います。ただ、「部屋の隅と隅では話せませんわ」のところ、"yell across "のニュアンスが出ていなかったのが残念。ここも本来なら笑えるとこだと思うんですが。私も英語をちゃんと聞き取れるわけではないので、えらそうなこと言うわけにはいかないですけど。

こちらの劇場でも、一階両サイドは売られていなかったようです。一階はほぼ満席、2階は8割くらいの入りだったでしょうか。2階は休憩時間に見に行っただけなので正確ではないですが。客層は、昼公演は9割おばさま、1割若い女性、プラスおばさまの連れのおじさまがほんの数人。夜は6割おばさま、3割若い女性、残りが女性の連れのおじさま・若い男性・バレエを習っているらしいお嬢ちゃん。男性だけでみにきている人はほとんどいなかったと思います。

にもかかわらず、見事な野太いブラヴォーと鋭い口笛が。不審に思って見回すと、これは劇場の職員のしわざでした。ちょっとどうかとは思いましたが、自分ではやりたくてもできない芸当なので、代わりにやってもらったようなものですね。言ってみれば必要悪のようなものでしょうか。おかげでおおいに盛り上がりました。昼は2割くらい、夜は8割くらい立ち上がってましたね。二階はどうだったか分かりませんが。

クーパーの歌声、皆さんがうまいとおっしゃるのを読んではいたのですが、やっぱり実際に聴いてみないことには実感が湧いてなかったんです。実際聴いてびっくりしました。うまいですね〜。声量もあるし、のびがあって、こんな形容が適切かどうかは分かりませんが、とてもセクシーな歌声でした。彼が踊りだけじゃなくいろんなことに挑戦したいと思うのにも納得。もちろん本職のペギーやフランキー役の人には及びませんが、十分やっていけるだけの力量があると思いました。

ただ…、彼の踊りは、彼の歌のように「うまい」なんてレベルのものじゃなく、「特別」なものだから、やっぱり踊りに重点を置いてもらいたいなあ、とは望みますが。バレエの要素のまったくないミュージカルだったら、普通に「すぐれた俳優」程度になっちゃうんじゃないかなあ、と心配してしまいます(余計なお世話なんでしょうけど)。

ナンバーのなかでは、「オン・ユア・トウズ」が一番楽しめました。曲も踊りもものすごく盛り上がりますね、これ。最初は「いつのまに着替えたんだ?」と思いましたが、二回目はよく分かりました。不自然さを感じさせずに入れ替わるのはうまいですね。ただ、あの衣装は何とかならないんでしょうかねえ?セルゲイが革命を認めていないのに赤っていうのも変ですし。いっそのこと思いっきりバレエっぽく、女性は白いチュチュ、男性は上が黒っぽいきらきら王子様衣装、下はお約束の白タイツ、とかの方が面白いと思うんですけど。

ゼノビアの奴隷の踊りも面白かった。ずらしたときに面白さが出る振り付け、いいですね。一糸乱れずにきちんと踊ったらかえって変に見えるでしょう。

クーパー自身の踊りでいうと、どれが良いというより、ぜーんぶ最高!!きゃー!!きゃー!!です……。我ながら恥ずかしい感想ですみませんです。ファンだからしょうがないっす。何か、自分でも舞台を見ていて顔がにやけているのが分かって、あきれてしまいます。客席が暗くてよかった…。客観的にみるとコワい情景かも。でもやはり、彼の腕の動きは本当に人を惹きつけますね。うまく口では説明できませんけど。

最後の「十番街〜」、ソロもサラとのパートナリングも実にお見事だったんですが、うーん、何だか違和感が否めませんでした。「冴えない教師がカッコいいダンサーに!」というより、「ジュニアがクーパーに戻った」ように感じられてしまって…。もちろんこれは演者のせいではなく、観客である私の先入観のせいなんですけど。

一幕のあとの休憩時間、多分クーパーを知らないと思われる隣席のお嬢さんが、「教授がかわいい!」と話していました。そういう意識で見るのが正しいと思うんですが、うーん、これはほんとにしょうがないですね。あ、もちろんクーパーを知っている私も「かわいい!」と思いましたが。

あと、踊りも音楽もいいのに、ストーリーが何ともはや。「ギャングの女とよそ者」という組み合わせ、当時はやったんですかね?私、アステアの映画は2本しか観ていないんですけど、そのうちの一本「バンドワゴン」にも似たような設定の「ガールハントバレエ」なるものがあったし、後学のために最近見たジーン・ケリーの「雨に唄えば」にもこれまた似たような設定の踊りがありました。まあストーリーのことを言えばゼノビアも似たようなもんなんですけど。

で、「かわいい!」ついでに言いますと、クーパーの表情良いですねー。笑顔もいいし、困惑したような表情もいいし。奴隷の時の「ニカっ」も白い歯が大変よろしい。これは間近でみるべきものですね。

マリンズ君、私も注目しました。ほんとにあちこちで主要な役やってますね。もじゃもじゃ頭で見つけやすいし(笑)。マチネとソワレの間、たまたま歩いてきたマリンズ君発見。ちゃっかりサイン貰って握手までしちゃいました。"Execuse me, Mr Mullins? "と声を掛けたら、にっこり笑って「アリガトー」と言ってくれました。いい人だ。(←単純) ソワレのあとに出てきたときも、私を覚えていてくれたみたいで、ああ、さっきの…みたいなこと言ってました。ますますいい人だ。なので、"Yes. I like your dancing. "と言ったら、またまた「アリガトー」って言ってました。この公演に参加したことが、彼のキャリアにプラスになるといいですね。

ラストの狙撃シーンですが、東京では真ん中に駆け寄っていたそうですね。こっちの劇場では一列目の座席のすぐ前にオーケストラピットの壁があり、客の足が邪魔になるので位置は左端のままでした。そのかわり、オケピの壁に片足を掛けて、かなり身を乗り出していたので、余程条件の悪い席でないかぎりは見えたと思いますが…。ただ、やはり分かりにくさは否めません。特に逮捕のシーンは最初よく分からなかったです。夜公演の時は、警官がやってくる通路のすぐ近くに座っていたので一部始終がよく分かりましたが、うーん、あれは、警官にもスポットライト当てるとか、「逮捕する!」と叫ぶとか、連れ去られていくところをスポットライトで追いかけるとかした方がいいんじゃないでしょうか。

サラ・ウィルドーの評判はやはり良いようです。帰りにキャスト表を眺めていたら、「このひと、めっちゃうまかったよねえ」と言い合っている二人連れがいました。役者名ではなく役名の方を指さしていたので、間違いなく彼女のことを知らない人たちだと思います。他にも、「単にアダムの奥さんだから出てるのかと思ったら、すっごくうまかった!」と言ってる人もいました。

良かった点は「良かった!」としか言えないんですが、気になった点は具体的に言えるので、文句が多いみたいに見えますけど、全体的にはとっても楽しめました。


2004年5月29日(マチネ・ソワレ)

いま、公演から帰ってきました。もう最高です!生きてて良かった!彼らと同じ劇場空間を共有できたという喜びでいっぱいです。そんなわけで今日の感想と気づいた点をいくつか。まだ興奮中なので文章変かもしれませんがお許しを。

26日は、ゼノビアのカーテンコールの時、ヴェラはモロシンの足をふんづけて引っ込みましたが、今日は花束をさかさにして彼の頭にかぶせてました。客は大受け。昼はうまいことすっぽりはまっていたんですが、夜はちょっとずれて外れそうになってました。それでも大受け。

オン・ユア・トウズ(曲の方です)はますます盛り上がり、踊り終わったときは大喝采でした。ダンサー達もとっても楽しそうに踊っているものだから、「今度生まれ変わったら絶対ダンサーになる〜!」などと、訳のわからんことを(心の中で)口走ってしまいました。ただちょっといいところで音が外れた?ような気がします。音楽のことはよく分からないのですが、何だか変だったような?

十番街〜、今日はもう「クーパーとウィルドー」の踊りでいいじゃん、と割り切って楽しみました。特にふたりきりになってからのパドドゥ、すっさまじい迫力でした〜。まるで火花が散っているような。すばらしいパートナーシップですね。

今日のクーパーの歌の調子は、うーん、絶好調というわけではなかったようです。かすれているわけではないんですが、ちょっとのびが足りなかったような。今日はケーシーが素晴らしく張りのある声で歌っていたので、一緒に歌うところはさすがに聴き劣りがしました…、残念ですけど仕方ないですね。それにクーパーの方が運動量多いんだし。

そのかわり、踊りはすっごく良かったです。チャウさんがおっしゃっていたような、「タップの音が鋭く響く」ってこういうことなんだ、と実感できました。

それからゼノビアのターザンシーン、今日は一回目からズボン脱いでました。なんで〜。

ゼノビアの姫と物乞いのパドドゥ、きれいですねえ。お笑いのないシーンではうっとりしてしまいました。

アンサンブルの方では、今日はマリンズ君の他にガーナー君に注目しました。紫のハーレムパンツが似合いますねえ。いかにもバレエ的な「王様のおなーりー」が決まってました。

あと、これは26日の記憶が定かではないのですが、ロシア人のふりして「ダー」って言うところありますよね?これ、26日は足をちょっとクロスさせたポーズを取って言っていて、ポーズはその一つだけだった、と思うのですが、今日はポーズを三つくらい次々と取って大きな笑いが起きていました。ただこれは26日の記憶が定かでないです。字幕に気を取られていたと思いますし…。東京ではどうだったのでしょうか?

で、今日は客席のなかから口笛が起こっていました。男性客も平日にくらべれば多かったです。といってもやはり1割にも満たなかったですが。東京ではほとんどが若い女性だったと聞いてかえって驚いてます。こちらでは本当に40〜50代の方が多いです。週末はもちろん若い人の方が多いんですけど、それでも3〜4割近くはおばさま同士のグループだったような印象です。

カンパニーは月曜の飛行機で帰るそうです。ちなみに今日は終演後にさよならパーティが開かれたとか。出演者の皆様、明日もあるんだから飲み過ぎないでね〜。


2004年5月30日(大阪公演最終日)

今日は今までで一番笑いが多かった!例の「ジュニアヴィッチ」のところも、まあ爆笑とまではいかなくても、かなり大きな笑いが起きていました。

今日は3列目左サイド寄りに座りました。モロシンが座るすぐそばです。でも舞台に気を取られていて、いつ入ってきたのかわかんなかったです。これじゃあ、確かに撃って逃げてもばれないかも。

3列目ということで、双眼鏡を使わなくてもキャストの表情がよく見えました。サイドなのでもしかしたら視界が切れるかな?と心配していたんですが、最初のヴェラの登場など、左奥もちゃんと見えるし、ダンサーの足下もほとんどちゃんと見えました。

そのかわり字幕は非常に見にくかったですが、さすがに五回も見てれば字幕を見なくても大体聞き取れるので問題なし。うん、一回しか見ないんだったらベストとはいえない席ですが、五回目、しかも楽日の席としては最高だったと思います。椅子に座った学生達の表情も踊りもよくみえるし、教授のピアノは目の前だし。ということで細かいところがよく見えました。

しょうもないことですが一応報告を。学生達が教授に紙くず投げつけますよね?で、そのうちの一つを拾ってかばんに放り込みますが、同じかばんの中のタップシューズにその紙くずが入ってしまってました。一瞬靴の形をととのえるためにつま先にいれてるやつかと思い、公演前に出すの忘れてたのかなーと思ったんですが、片方だけだったので。クーパー君は動じずに取り出していたから、きっとよくあることなんでしょうね。

あと、この座席からは右の袖が見通せたので分かったんですが、ジュニアが袖でヴェラにビンタされるシーン、あの音はクーパー君が自分の手のひらで壁を叩いて出してました。壁をばしばし叩くクーパー君、なんかちょっと笑えました。

あと細かいところといえば、ヴェラのベッドルームでの誘惑ダンス?のところ、最初のリフトのところで、今までは眼鏡がずれていたんですが、今日は完全に飛んでいって落ちてしまってました。これは別にわざとじゃなくて日によって違うんでしょうね。サラの顔にショールがかかってしまったのを、クーパーがさりげなく外していたのが優しげで素敵でした。(これは演技ではないのであえて実名の方で書いてます)

それと、前にも書きましたが、クーパー君の表情ほんとに良いですね〜。フランキーの変な歌聞いて「何この喩え?」とちょっと顔をしかめるとことか、今まではよく見えてなかったんですけど今日はよーく見えました。

あと、最初の日は「十番街〜」でいきなりジュニアからクーパーに戻るのが違和感がある、と書きましたが、よくみたらジュニアの時の踊りでも、時々ダンサー・クーパーの真剣な表情に戻ってました。そこもまた良いのよ〜。ってファンだから何でも素敵にみえちゃうんですが。ジュニアのときの人の良さそうな顔と、「十番街」でピストルを撃つときの凶悪ヅラやストリッパーの死を嘆き悲しむ悲痛な顔とのギャップもいいですねえ〜。

それに、ほんの十数メートル先でアダム様をはじめとしてサラやハート、そしてお気に入りのマリンズ君たちが私(たち)のために踊ってくれてるなんて夢のよう。ああ、もう一度見たいよう。

お客の入りも今日は最高でした。一階の両サイド除けばほぼ満席。ちなみにここは当日券で売られていたようで、平日は4、5列に幕が掛けられていたのに対し、今日は2列くらいでした。

終わったときはもうすごい拍手で、当然ながらスタンディングオーベーション。今までより立ち上がる人数も多いしタイミングも早い。今日は振り向けば2階席が見えたんですが、そちらも8割以上立ち上がっていました。

そして、今までは「本日の公演はこれをもちましてすべて終了しました」のアナウンスが入ると、拍手はすぐにやんでいたのですが、今日はアナウンスをかき消すくらいの勢いで拍手が続き、とうとうクーパーが一人で最後にもう一度出てきました。とても嬉しそうな笑顔で喝采の続く二階を見上げ、一階を見渡し、おじぎをして手を振りながら袖に向かい、最後にひとつ投げキッスをしてひっこみました。日本公演は大成功を収めたといっても良いのでしょう。あの時の彼の表情は忘れられません。

話が前後してすみませんが、公演の内容に戻りますね。えー、まず歌の調子なんですが。いまひとつだったと思います。なんだかしゃがれ気味でした。でも完全につぶれていたわけでもかすれていたわけでもないので、ぎりぎりセーフというところでしょうか。

「ダー」のところですが、今日はまず足が第四ポジション(風?)、腕は両腕を卵形にして下ろしたプレパラシオン(風)、それから体の向きを変えて片肘を曲げて手のひらを肩先付近につけ、もう片方の腕は斜め前方にまっすぐのばし(わかりにくいでしょうが要するに「海賊」風の腕と思ってください)、そして片足を少し後ろに上げてから前へもってきて、さらに別のポーズを決めた、と思います。ちょっと記憶が定かじゃないです。すぐ終わってしまったし。でもこれ今日も大受けでした!わざとらしくもったいぶったような顔をして、ぎこちなくポーズを取るのがすっごくおかしかった。昨日のポーズとも微妙に違ってたと思います。昨日は確か最後が海賊風になってたような気がしますので。

ゼノビア、今日も受けてました。うーんと、でも今日はちょっと拍手のフライングが多かったです、ゼノビアに限らず。まだ音楽や歌がやまないうちに拍手はじめてしまうんですよ。だから何だか妙なところで拍手が起きたりしていました。音楽が終わりそうに聞こえて実はまだ続くところとか…。そんなに気にするべきことじゃないのかもしれませんが。ヴェラが投げ出されてべちゃっとなった所でも拍手が起きていたのは不可解でした。

それはともかく、ジュニアが出てきてからは爆笑のうず。ジュニアが塗料塗り忘れたことに気づくシーン好きです。胸を隠してひっこみかけてまた押し出され、列に戻って両手を胸においたままくるりとターン、つい「何だうまいじゃん」などと思ってしまいます。このへんもほんの少しだけですが「クーパー」が出てるのかも。ちなみに今日も一回目からズボン脱いでました。今気づいたのですが、当時あんなサポーターなんて無かったはずですよね?!

今日も「オン・ユア・トウズ」は最高の盛り上がりを見せました。曲が終わると、本当に自然発生的に沸き起こってくる感じの大拍手。しかも長く続くので、ポーズを決めたダンサーたち(特に女性をサポートしている男性陣)大丈夫か?などと超余計な心配をしてしまいました。もちろん彼らはぴたりと静止したまま、程良い頃合いに次の曲がはじまりましたが。などと言いつつ、私も次の曲がはじまるまで力一杯拍手を続けていました。

楽日のサービスがひとつありました。モロシンがギャングにジュニア殺害方法について説明する場面、ギャングが袖に引っ込むときに「ハッハッハ」と笑いながら「OSAKA」と言ってました。これは私の席の目の前くらいでした。私も含めて周りは大笑いしていたのですが、もしかしたら後ろの方は聞こえていなかったかも?どうなんでしょう。

最後の十番街、今日もクーパーとウィルドーは迫力ある踊りで圧倒してくれました。にこにこと実に楽しそうに、そして決めるところでは真剣な表情で踊っていて、本当にもうこれが見られないなんてもったいない。ガラなどでこれだけ独立して踊ってもいいんじゃないかと思いました。そうそう、女装したマリンズ君の悩殺ダンス(?)もちょうど目の前で堪能しました。何度も言いますが、もう一度みたいようみたいよう。

そして数々の素晴らしいナンバーが頭のなかでぐるぐる。鼻歌歌いながら帰路につきました。しばらくはこの状態が続くんでしょうね。

今日も帰りがけにマリンズ君を見かけました。髪が濡れたままであんまり可愛かったもので、つい" You looked so gorgeous in red dress. "と口走ったら、苦笑してました。


おまけ

ところで、今日、というか昨日(5/5)、こっちのテレビでオンユアトウズの特集やってました。先日東京でやっていたというレスターでのインタビューがあるかと期待していたのですが、それは無しでした。大阪公演の主催は朝日系の大阪朝日放送なんで、TBSのやつは使えないのかもしれません。

で、その番組のタイトルは、

バレエ界のベッカム!噂のアダム様 遂に来日!
ミュージカル「オン・ユア・トウズ」のすべて

という超はずかし〜いもの。「噂のアダム様」って、30年前の少女漫画じゃあるまいし。

中身のほとんどは以前放映したPR番組の再利用でしたが、それでも東京公演の舞台映像が結構使われていてコーフンしちゃいました。PR用に編集されているからいい場面ばかりつないでいるんでしょうけど、ほんっとうに公演が楽しみになってまいりました。最初のドーラン一家の公演、ジュニアの授業風景、ひそかにタップを踊っているところをフランキーに見つかるシーン、モロシンに握手を拒否されるところ、ジュニアがヴェラをベッドルームでリフトするところ、あとはもちろん劇中バレエの二作品からも見せ場をいくつか。顔だけ青いところもしっかり映ってました。で、やっぱり十番街の殺人かっこいいですねえ〜。

あ、これだけ並べるとすごく長く流れたみたいに聞こえますが、実際は一場面数秒ずつ、しかもチケット情報のナレーションと文字がかぶっているからあくまで「雰囲気をつかむ」程度のものです。

最後に大阪朝日放送のアナウンサー(三代澤康司)がアダムにインタビューしてました。場所は東京公演が行われている劇場のようです。背後にはオン・ユア・トウズのポスターが貼られてます。さらにアナウンサー氏の膝の上にはOYTのパンフレットが。

アナウンサー氏「お客様方がアダム・クーパーさんの踊りにもうほんっとうに引き込まれていましたが、そういうのは踊っていて感じるもんですか?」

クーパー「そうですね、舞台の上ではいつもお客さんとの一体感を感じています。日本の観客の皆さんは世界のどの地域よりもリアクションがいいんです。ちょっと面白いのは笑いの部分なんです。バレエで日本に来た時はコミカルな部分でのリアクションが少し薄かったんですが、今回の『オン・ユア・トウズ』では逆に世界のどの地域より大きな笑いが起こっていて、僕たちはとても喜んでいるんです。」

ここですかさずアナウンサー氏、「次にいらっしゃいます大阪は、非常に笑いが好きな土地なんですが…、ん〜」 クーパー君、笑いながら「Good」、アナウンサー氏も通訳を待たずに嬉しそうに笑う。ほんとに楽しそうに笑うな。いいなあ、「噂のアダム様」と談笑なんて。

アナウンサー氏、言葉を継いで「この作品は大阪の人にひじょおーに受けると思います」 クーパー「去年『白鳥の湖』で大阪に行った時も、観客の皆さんはとても盛り上がってくれていたし、舞台の上からでも皆さんが本当に楽しんでくれているのがよく伝わってきました。だから今回も大阪に行くのをとても楽しみにしているんです」(←このへんは営業か?)

最後にカメラ目線でクーパー君、

"Hello, everyone in Osaka, I'm Adam Cooper, and I will be in Osaka very soon with my show On Your Toes. MI-NI-KI-TE-NE!"

最後の「ミニキテネ!」でちょっとやられちゃいました。

ちなみにアナウンサー氏はちょっと生瀬勝久似(←あくまで私見)で比較的若め、外国人のクーパーと対しているせいか手振りが大きく(そのせいで時々膝の上のパンフがずり落ちそうになっていた)、こてこての大阪なまり・満面笑顔で話してましたので、↑もそのつもりで読んでみてください。アナウンサー氏の台詞は若干はしょってますが…。クーパーの台詞は字幕そのままです。しかしやっぱり日本人の男性と並ぶと背が高いですねえ、クーパーは。座高はあんまし変わらないけど。

クーパーの台詞の原文は大体以下の通りです(ちょっと自信が無いところもありますが)。

"Yes, we can really tell that the audience are very engaged in what we are doing. We can always feel that in Japan, more than any other countries I think. But for me the surprise is the element of laughing that we get here, because when I approach...uh, when I've been here doing ballet [they have some humorlessness](←このへん自信無し) sometimes it's...you know, you find that Japanese audience laugh not as much as other places, but here we get more laughs than we find in anywhere, so it's fantastic."

"When I went to Osaka with Swan Lake last year, the audience were fantastic, I mean, very loud very...uh, you could really tell that they were enjoying it, so I'm really excited about taking it to Osaka."

6月5日追記:  インタビュー部分は、大阪公演当日に劇場のロビーでも流されておりました。ご覧になった方も多いんじゃないでしょうか。

ところで、公演を見終わった目で改めて見直してみると、初日の映像は結構長めでした!前に書いた以外にも、"It's Got To Be Love"の最後の部分、ジュニアがフランキーを高々とリフトしたのちぐるぐる回す→みんなで手をひらひらさせる→シェネ風の高速回転をしながら少し前へ出、腕を開く→指を鳴らしながら"It's got to be love, it's got to be love..."と歌いつつ後退し、ジュニアとフランキーが持ち上げられてキスする、の場面。

「オン・ユア・トウズ」の中のジュニアとフランキーの踊り(ただし映っているのはジュニアのみ)。同じく「オン・ユア・トウズ」の群舞(アイザック・マリンズがジュテで舞台前面を横切り、ジャンプして空中回転〔ソ・ド・バスク〕して片膝ついて片腕上げるポーズを決め、すぐに立ち上がってアティテュード→グランフェッテを続けているパートナーの周りをジュテで廻って彼女に手を差し出し、舞台右前面に連れてくる→みんな一斉にかけ声を上げてバレエ群全員が右足を横に大きく振り上げるところまでと、音楽の最後にみんなが同じステップを踊って最後のポーズをばしっと決めるところ)。

全体的にカメラワークが悪く、特にマリンズ君の見せ場では動きについていけずにふらふらしてるわ、足元は切れるはでかなり酷く、ニュース映像としての価値しかなかったのが残念です。

クーパーのソロは、かなり細切れながらほぼ全種類出ていました。これについてはもはや何も付け加える必要はありますまい。かっこええ〜。他に、ゼノビアのコーダでみんなが肩を組んで風車みたいに回るところに、ジュニアが四つんばいで這いながら近づいていって加わる場面とか、十番街のストリップガールとダンサーの最初のパドドゥとか。んー、でも最後のパドドゥが一切無かったのが残念。あと、なぜかモロシンはジュニアの握手を拒否するシーンのみ(もちろん「風車」には加わっているが一瞬後ろ姿が映るだけ)。なんでやねん。

それにしても、「オン・ユア・トウズ」の群舞は、実際に舞台で見たときの方がずーっと楽しげで盛り上がって踊りも上手かったと思うんですが…。これはあながち私が記憶を美化しているだけってわけでもないと思います。うう、今からでもロンドンで完全版の映像を撮ってDVD化してほしいわ。


このページのトップにもどる