Club Pelican

Stories 13

「危険な関係 ( "Les Liaisons Dangereuses")」
日本公演感想集(東京編)

by sai


1月22日昼公演

私の第一印象は、レズ・ブラザーストンの演出と美術が大変洗練されていて、すばらしかったことです。アダムは、ダンスは良かったのですが、振り付けの題材が難しかったかな、という感じがしました。

演劇性の強い題材はマクミランに多いのですが、私が今までに観た「マノン」、「三人姉妹」(マクミラン)、「マルグリットとアルマン」(アシュトン)では、ストーリーや人物描写がよくわかり、音楽とダンスも非常によく調和していたと思います。残念ながら今日はそこまで感じられませんでした。

また、ダンスと音楽の調和についても、作曲がオリジナルだったせいか、「白鳥の湖」でマシュ―・ボーンがみせた、チャイコフスキーの音楽とダンスとの素晴らしい一致がやや足りなかったかな、と思います。

あと、気になったのが、メルトイユ役のサラ・バロンのダンスが粗かったことです。反対にトゥールヴェル役のサラ・ウィルドーのダンスは細かい所までコントロ−ルされており、情感が伝わってきま した。役のために踊りの質が違ったのかもしれませんが、ちょっと残念でした。

しかし、世界初演の舞台でもあったせいか、舞台にお金がかかっているなと思いました。演出もおもしろく、かつらの扱いがおもしろかったです。アダムの主演でしたが、登場人物全員で構成された舞台だなという感じがしました。だから、本音を言えば、もっとアダムが見た〜い!でした。


2月5日夜公演

私の第一印象は、カットして下さい!(チャウ注:しませんよ) 私の中に美しく、優雅なバレエのスタイルがインプットされているのかな?だからポジションから外れた動きが不自然に見えたのかもしれません。

2回目は心を真っ白にして観ました。アダムとサラ(ウィルドー)のパ・ド・ドゥがずんと響きました。ほんとに、情感が伝わってきました。すばらしい振り付けだった。

また、サラ・バロンのダンスについても、あることを思い出しました。それは彼女のスタイルがコンテンポラリーであり、私も過去にそのスタイルに似たダンスを経験していた事です。

クラッシックは中学までで辞めましたが、大学に入ってまた踊りたくなって、モダンバレエの研究所でマーサ・グレアムのメソッドを学びました。

マーサ・グレアムはアメリカのスタイルなので、ヨーロッパのコンテンポラリーとは微妙に違っていると思いますが、根本的にクラッシックとは異なります。そのことを頭に入れて観たら、最初感じた違和感はほとんどなくなりました。

モダンバレエですが、当時はあまり知られておらず、私も戸惑うこともありましたが、踊っていると素足でのびのび踊ることができました。しかし、創作ダンスを作るときのように振付けも自分で考えるのは、苦手でした。クラシックの方が覚えやすかったし、ポジションが決まっているので正確に踊ることができたからです。

マシュー・ボーンの"SWAN LAKE"のセント・ジェームズ・パークの最後の場面で、スワンと王子、白鳥達が踊る箇所には、マーサ・グレアム・メソッドのセンターレッスンと同じ動きがあるので、私はだ〜れもいない時はひとりで踊ってしまいます。(笑)

最後の場面で、真実の愛に気づき人間らしさにあふれたアダムのダンスと表情に鳥肌がたちました。2回観て、やっとこの公演の素晴らしさを正直に感じることが出来ました。

私は自分の中の枠を取り払うことができたかもしれません。・・・なんて、かっこつけてしまいましたが、まだまだたくさんの作品を観て勉強しなければ・・・。

土曜日はとても満足して、デマチもしないで帰りました。アダムは大好きだけど、踊っている彼が一番好きだから。トークショーもうらやましかったけど、やはり踊っているアダムを観ることができてとても幸せでした。

話は変わりますが、土曜日は私の友達と、舞台芸術の勉強をしている彼女の娘さんと行きました。娘さんはえらく感動し、公演終了後も舞台近くで 舞台装置を熱心に観ていました。係の人にあやしまれるほど。こういう見方もあるんだな、と改めてレズ・ブラザーストーンの偉大さを感じました。イギリスでも成功するといいですね!


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