Club Pelican

Stories 10

「危険な関係("Les Liaisons Dangereuses")」
日本公演感想集(東京編)

by ケリー


いってまいりました、1月29日と、2月5日のソワレです。2月5日は、もろ1列目ど真ん中の席でした・・・いやー感激。後は東京の楽日の2月16日のマチネです。しかし、買った翌日がアダムの生出演(チャウ注:1月30日の公演後に行なわれたトーク・ショウのこと)とは、つくづく縁がありません・・・。

さてさて、舞台ですが・・・私はもう全然なんです・・・1月29日に見たときに、「全然ダメじゃ ん!!!!」と思いました・・・。このまま海外に持っていっても、ボロクソに叩かれるんちゃうかーアダム・・・、ヤバイよヤバすぎ!と思ったのです。スミマセン・・・。

「危険な関係」って、一体ミュージカルなのか芝居なのか舞踊劇なのか、結局チラシには何にも書いていないままだったので、特番も見逃したし、何かわからないまま行ったんです。そしたら思いっきりバレエちゅうか舞踊劇で・・・正直たまげました。

何が一番問題かと思ったかといいますと、あの謀略満載の話をセリフ無しでやるのは、ちょっとあまりにもキツ過ぎる・・・そしてやはり失敗したなあ・・・というのが正直な感想です。

パンフレットには、初めて観た人でもわかるように・・・とのアダムのインタビューがありましたが・・・いやあ・・・あれではサッパリかと。チャレンジ精神は買いますが!!!!

メルトイユが一体何のためにああいう行動を取っているのかも全く見えてこないし、メルトイユとヴァルモンの関係もサッパリわからない。ゆえに、なぜにセシルを襲うのかもわからない。

また、メルトイユが愛人との狂言騒ぎも、意味不明です。あのシーンは一体何のためにあったのでしょう?メルトゥイユの性悪ぶりを見せるため?にしては進行上、ちょっと遅すぎんじゃねーのかなあ・・・。また、あのカギ!一体なんだったのだあれは〜!あれだけ匂わせといて結局重要でもなんでもなかったんかい!

また、西洋では貞淑の象徴かもしれませんが、サラが真っ黒な衣装で現れたので、未亡人の設定かと思ってしまいました。しかし未亡人なら不倫とかって思い悩む必要はないわけだしー・・・。なんにしても、ご主人の存在をどこかで見せておかないと(肖像画でもかけておくとか、カップルでどっかに登場させるとか)、セリフ無しでは彼女がなぜにあそこまで思い悩むのかが全くわからない。

また、意味不明なラストシーン。人々のささやき声がバックに入っているところから察するに、要するに悪事が公になった、とのことだと思うんですが、そしたらヴァルモンの遺体が同じ場所に転がったままなのはいただけないんじゃないのかー!とか。

正直言って、お話自体を事前に知らないと何がなんだかわからん舞台だと思いました。

こういう意味で、アダムの意図に反して非常にバレエ的だなーと思いました。私は映画でハリウッド版もジェラールフィリップ版も見ていたので、なんとか人物関係が把握できたのですが、あの物語を知らない人には何がなんだかわからなかっただろうと思います。それを反映してたのか、1幕目が終わったときの拍手は、とても少なくなんとも頼りないものでした。

あと、細かい点ではアダムが4種類も衣装換えするのに、社交界の頂点に君臨するはずのメルトイユの衣装がたった2回。ラストのを入れても3回(しかも同じ赤だしー)。すごくヘンです。あのストーリーの流れなら、やはり主人公はメルトイユじゃないのかなあと思うんですよね・・・。

それにファンサービス以外の何物でもないというような、アダムのお着替えストリップ。眼の保養だが余計なシーンじゃないかなー・・・と思っていたら、2月5日はもう少し時間的にも短めにされた感じがあったので、「そうだよなー・・・」と思った次第です。

それに照明がヨロシクない!何でそこに当たって、こっちに当たってないのか!と思うようなことが結構ありました。特にダンスニーとセシルのピアノ踊りのシーンなど、アダムたちのテーブルに半端に光を残すので、二人があのテーブルに近づいていったとき、何でばれないのか不思議に思ったぐらいです。あれはテーブルの人は真っ暗にするべきだろーなどなど、もう、突っ込んでばっかりでした!!!

うー、言っちゃった言っちゃった・・・。でも、どうしても納得いかないことが多すぎて・・・。 ってなわけで、私的にはかなり「残念!」(チャウ注:「斬り!」)という感じです。振付家としては悪くないように思うのですが、演出家としてははダメなのかもなあ・・・アダム。・・・ファンとしては、まだまだ勉強中!と思いたいところです。

さて、キャストそれぞれについては、もう、とにもかくにも、サラ(ウィルドーの方です)が・・・もうサラが最高に素晴らしい!ホントどうしましょ!観る度に、どんどんファンになっていってしまいますです!

前回のあのビッチ振りも本当にすばらしかったのに、今回の、トゥールベルのあの気品と美しさと、あの表現の豊かさ!!!もうすっかり眼はサラに釘付けです。そりゃーアダムじゃなくとも惚れるわ!と妙に納得。アダムなんて全然見ちゃいなかったです・・・すまぬアダム・・・。っていうかアダムがどーもパッとせず目立たないのも、照明の悪さのような気がしてしまう・・・。OYTのときはすごくカッチョよかったのに!

それにしてもサラはポアントじゃなくても、あんなに美しく踊れるなんて・・・。あの最後の自殺してしまうシーンなんか、思いっきりピンクのスプリットソールタイプ(つま先とかかとで底皮が分かれているタイプのもの)のバレエシューズでした。彼女は現役時代マイムの名手だったそうですが、その実力が遺憾なく発揮され・・・。ううう、素晴らしかった・・・。

そして、セシルのヘレン・ディクソン。彼女も本当に素晴らしかった!彼女だけがポアントでしたね。あんなに重そうな衣装着て、アラベスクはしっかり90度。うーん素晴らしい。本当に可憐で、オヤジ婚約者とのイヤイヤやり取りは実に芸コマでよかったです。本当にいやそうだったなあー。彼女もすっかり気に入ってしまいました。

また、ダンスニーの彼もカワイイ・・・。カワイ過ぎです!!!私が見たのは2回ともおそらくダミアン・ジャクソン君だと思いますが、いやあーいいですねえ、彼・・・。(←オヤジかっ) アダムとの絡みは特ににコーフンしました!!(おいおい)

サラ・バロンはまさにはまり役でしたねー。でも、29日は、どうも力が抜けない感じがするなあというか、ギクシャクしているなあという感じでしたが、5日はとても素晴らしかったです。

そしてアダム。何故かアダムがパッとしない・・・。でも考えてみたらあまり踊りまくるだけのシーンはないですよね。しかしOYTではあんなにキャラ立ってたのになあ・・・。29日も5日も、どうも印象が薄いんです。

今ひとつヴァルモンのキャラが立ってないような気もするし・・・。照明のせいのような気もするし・・・なにせ表情があまりよくわからないんですよね。なんにしても、やはりアダムには伊達オトコは似合わない、ということかなっ。多くの女性たちに反対されそうですが!

なんというか、容貌はともかく内面が全然やさしすぎるせいなのか、リフトの瞬間とか、何かの拍子にヴァルモンじゃなくなちゃうからかも・・・。それとオトコと絡んでくれないと!やっぱりヤラしくないわ〜(全くもってスミマセン)。レズ・ブラザーストーンとの間で、「ニジンスキー」かこれかとのことだったそうですが、ぜひ「ニジンスキー」にしてもらいたかったですな!

さてさて、1月29日に比べて、2月5日は、キャストたちも全然なじんできた、というか、リラックスして思いっきり演じているという感じがあって、よかったです。サラ(ウィルドー)は、どっちも最高でしたが!舞台ってやはり成長するものなんですねー。

2月16日にどうなっているか楽しみです!29日のカーテンコールの後、舞台袖に歩いていくときに、アダムがサラの頭にチューしていたのがとてもほほえましかったです。


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